FAQ

 

詠春拳はどんな拳法ですか?

無駄を省き、最小限の動きで制することを目指す拳法です。主に近距離での接触を通じて相手の動きを制御し、打撃で制圧する技術体系です。


詠春拳が習いたくて見学に回っていますが、どんな先生についたらいいか判断が難しい。


見学や体験をした時に、面白そう、やってみたいと感じたかどうかがけっこう大事だと、個人的には思います。また人間的に自分に合った先生を見つけられれば、それに越したことはありません。


消去法で考えるなら、以下のような点に留意するといいと思います:

通いやすさや料金の安さ優先で選ぶと結果的に時間とお金が無駄に。
  → 多少遠くても、良い先生を探すことが大事。コストパフォーマンスより正当な対価を支払ってきちんとしたものを教えてもらうこと。


指導者の練習経験が浅い場合は、慎重に。
  → 目安としては、指導者に5000時間以上の自身の練習経験(指導経験を含めない)があるかどうか。例えば週3回・1回3時間の練習を10年続けると約4500時間になります。日本で詠春拳を習いたい場合、この点はよく注意したほうがいいと思います。

半年学んでも原理や理論を具体的に教えてもらえない場合。
  → 長期的に学んでも技術の核心が見えにくい可能性があります。

長年学んでいるのに基礎しか教わっていない生徒さんがいる教室。
  → 生徒の習得進度は、教室全体の稽古レベルを示す手がかりになります。

練習回数が少ない教室。
  → 練習量は上達可能性の大部分を占める。
 

また複数の武術を混在させて教えている教室についても慎重な検討をおすすめします。詠春拳だけでもかなり極めがいのある内容です。


詠春拳は何歳でもできますか?

子供に関しては、基礎的な物理が理解できないうちは練習を開始しないのが葉問の時代からの通例です。


上に関しては「年齢に関係なくできる」と言われることもありますが、実際には若い頃から継続している方に限って成立する話であることが多いです。当会でもこれまで50代・60代の方々に指導してきましたが、その経験上、始める時期は早いほど望ましいというのが率直な見解です。

生涯にわたって取り組める武術ではありますが、そのためにもできるだけ若いうちに練習を生活習慣に組み込むことが重要です。功夫=「時間の積み重ね」です。

当会は 原則として社会人を対象とし、新規の入会は50歳まで(要相談で55歳まで)としています。


「誰にでもできる」「力がいらない」といった話を聞きますが、本当にそんなことが成り立つのでしょうか?

成り立たないと思います。

 ・誰にでもできる = 簡単
 ・力がいらない = 非常に高度
 ・護身術になる = 現実的なパワーやスピード、平均以上の体力がいる

3つの要素は相反しています。


単純にスピードをのせて手足を振り回すだけのことでも、重力に逆らって質量を運ぶ運動ですから、それなりの腕力がいり、体幹の力がいります。

当会で行っているのは、誰にでもできて、力もいらない詠春拳ではなく、オーソドックスな現実的に上達できる葉問の詠春拳です。

ちなみに昔から「詠春拳はいい馬だが、誰にでも乗りこなせる馬ではない」と言われています。「誰にでもできる武術」として伝えられてきたわけではありません。


詠春拳は実践的だという人もいれば、詠春拳は弱いという人もおり、どれが正当な評価なのか?


なぜ詠春拳をやっても強くなれない人がいるのか → あまり練習してないからです。


詠春拳が「実践的で強い拳法だ」と評価されていたのは、香港で葉問の弟子たちが実際にストリートファイトで使っていた時代の話です。この時代、葉問の主要な弟子たちは、ほぼ毎日6時間の練習を行っていたと伝わっています。つまり、実戦的だったのは「詠春拳だから」ではなく、「詠春拳をその練習量でやっていたから」です。


現代の日本人はほとんどの人が、週1〜2回、1回2時間程度しか練習しません。


《数字にして見てみましょう》
 ・毎日6時間の練習 → わずか5年で1万時間超。
 ・週に2時間の練習 → 1万時間に到達するのに96年。5年続けて520時間。




どれくらいの練習量が必要ですか?

どの程度の習熟を目指すかによって変わりますが、たとえば「ギターやピアノをある程度自在に弾けるようになりたい」と望む場合と同じくらいと考えてください。

本気で楽器を弾けるようになりたいと思えば、できるだけ毎日楽器に触れようとするはずです。ところが「習い事」だと捉えてしまうと、週に1回でも「充分にやっている」と考える人が、なぜか増えます。


詠春拳も同様で、“身体を通じて技術を身につけていく”という点で、楽器と変わりません。ただし、相手はじっとしているピアノではなく、動いて殴ってくる人間です。詠春拳を自分のものとして自在に扱えるようになるには、継続的で地道な積み重ねが不可欠です。

上達のスピードを焦る必要はありませんが、「練習を生活習慣として取り込めるかどうか」が、何よりも重要です。


将来、詠春拳を人に教えたい

最低でも5000時間は自分自身の練習をし、後輩の面倒も見て経験を積むこと。この場合、ただ詠春拳を身につけるだけではおそらく足りません。自ら進歩・変化できる能力が必要です。上達できる能力も技術であり学習可能なものです。引っ張って教えてくれる人がいなくても、自ら上達を設計し実行できる人なら、人にも教えることができるようになります。


この会の特徴は?

詠春拳を深く学びたい/練習したい人のための、少人数制の稽古会です。詠春拳以外の武術の練習は行わず、詠春拳の原理と体系に沿った稽古のみを行います。
 
普及や宣伝を目的とせず、広さよりも濃さを重視しています。詠春拳に関する研究・交流の蓄積が多く、海外の別系統の詠春拳指導者との練習経験を持つ機会も持てるのは大きな特徴だと思います。


先生のバックグラウンドは?

詠春拳は1999年より川村祐三先生に師事。

修行経験 ー ※2019年現在
 ・詠春拳の総修練時間 10000時間超(約25年以上)
 ・師の監督下での修練時間 約7000時間(約15年)
 ・詠春拳を指導した経験 5000時間超(約10年) 


正式な先生は川村先生ですが、多くの人たちに詠春拳を教わっています。

詠春拳以外の格闘技の経験はムエタイのみ。
(国内とタイ国でアマチュア選手として試合経験)